スペイン語しか話せないドライバーのエレーネさんの車は
まずはクスコからピサックという村めざして出発した。
外の景色があまりにも自然豊かで美しいので、ムラキチ達はあれこれ指さしながら
車窓を楽しんでいた。初めは無口だったエレーネさんだが、彼なりに
遠くからはるばるやって来たこの家族を少しでも喜ばせようと、
「Vaca! 🐄バカ(牛)」だとか
(クスコ中心部から北西へ2kmほど行った丘の上にある遺跡)だとか、
ぽつぽつ話し始めた。
高台の上にある巨大な石組みの前に、観光客が群がっているのを見て、
ムラキチはあらかじめ調べておいた遺跡の事を思い出した。
「ああ!!Inti Raymi インティ・ライミ!!」
毎年6月24日にこの場所で行われる太陽の祭りの名前を叫ぶと、
エレーネさんは嬉しそうに空を指さして
「Inti、Sol インティ、ソル🌞!」と言った。
インティとはインカ時代から伝わる先住民族ケチュアの言語で太陽の事なのだ。
ムラキチはおかえしに「Inti たいよう、en Japón」と答えたら、
エレーネさんはオウムのように「TAIYOU,TAIYOU」と繰り返した。
自分の言った言葉が伝わったのがよほどうれしかったのか、彼はその後
車窓から見えるものをスペイン語で教えてくれるようになった。
クスコから北西へ78km。車でしばらく走ると羊や羊、牛などが草を食べる
のどかな風景が広がり、さらに山に囲まれた「聖なる谷・ウルバンバ渓谷」が見えてきた。山には高低差千mにも及ぶ美しい段々畑=アンデネスがある。
農業はインカ帝国を支えた技術の一つ。まず土、砂利、軽石、石という4層の段々畑にする。海風がこの地に昇ってきて、山々にぶつかり雲を形成、その霧雨は肥沃な大地に降り注ぐ。段々畑は雨水を効率よく蓄えながら、なおかつ水はけが良い。太陽もさんさんと照り続けることで、多種多様な農産物を生産することが出来るのだそう。
クスコで食べられている野菜や果物のほとんどが、この地域の農産物という事だ。
ふさふさ生い茂る緑を見てふと疑問に思い、うっかりエレーネさんに「今が旬なのか?」と
尋ねてしまったが、そういえばこちらは南半球。日本と真逆の季節だった。
民族衣装を着たおばちゃんが売っていた
いろんな種類の野菜の種
ひとつ5ペルーソル=約200円
買ってくれと言われたけど、
空港で没収されてしまうので
写真だけ取らせてもらった。
赤と黒の種は他の土産物店でネックレスとして売られていた。
確かにきれい!
種のかわりにリャマのキーホルダー小さいのを3つ買うことにした。
すると他のおばちゃんも、
「私のところのマグネットも素敵よ!」と、やって来た。
いろんなおばちゃんが売り子をしているが、
みんなどこも商品は同じである。
エレーネさんによると今畑にはMaízマイス=とうもろこし、
Chauchaチャウチャ=さやいんげん、
Papasパパス=ジャガイモなどが栽培されているようだ。
遠目で大きい葉っぱだと思ったのはサボテン
こちらではTunaトゥナ=サボテンの実も食べる。
Vacaバカ=牛がいるのは食用ではなく、牛糞を得るため。
牛は自由に畑を動き回り、草をむしゃむしゃ食べ、そして良く💩を出す。
小屋の横には糞が山のように積み上げられているのを見ることが出来た。
家畜たちも、こんな広大な土地ならストレスもないだろう。
それにしても高度による気温の寒暖差を活かし、
工夫しながらアンデスの山奥で暮らす人々。本当にたくましい~!!
前をゆっくり走るのは車とオートバイを合わせたような乗り物で、
エレーネさんが「トィクトィク」みたいに言っていたので、
たぶん三輪タクシーの「トゥクトゥク」の事と思われる。
とにかくいつも狭い車内に、人がぎゅうぎゅうに
詰まっている。
坂道を上る時は非常に辛そうだ。
あまりにも遅いのでエレーネさんはひょいひょい追い越していた。


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